黒い雨
女優の田中好子さんが亡くなった。yahooのトップページでそのニュースを見た時、思わず“はあ?”と言ってしまった。どこまでも健康そうな人に思えたスーちゃんなのに。
アイドルから女優になった彼女の作品で、どうしても最初に思い出してしまうのが、巨匠・今村昌平監督の「黒い雨」だ。田中好子さんが演じたヒロインは、ヒロシマの原爆投下後に降った黒い雨を浴び、被曝する。
最初は何も起きないのだが、やがてジワジワと恐怖が忍び寄る。「原爆症にアロエが効くらしい」という噂が流れる。やがて、庭のアロエが丸裸になっている。
そしてあのシーン。田中好子が湯上がりに髪をすく。ずるっっっ、と束になって抜けてしまう。放射線は音もなく、彼女の体を壊していた。今まで観た中で一番怖かった映画を挙げろ、といわれたら迷わず「黒い雨」を選ぶ。あの時感じた放射線への恐怖と、東日本大震災と、田中好子の死。奇妙な附合でないことを祈る。ただ祈る。



